犬のリーディング 3

昨日の続きです。

では、どうしたらいいのか?

その子の根本的な解決は抱っこをしない、だけではなく飼い主さんがその子の理解者となり教育者になることです。

その子の犬種は愛玩犬でもあるので、抱っこできる大きさではありますが、実はそもそも犬にとって抱っこを本能的には好みません。
猫の様に高低差の動きが自然(猫は高いところから落ちても体勢を立て直して着地できる身体能力を持つ)に対して高低に対応してない身体構造の犬にとって、己の高さより高い位置にあることが不自然なのです。

では、今回のケースの場合具体的にどうしたら良いのか。
答えは明確です。

この子の威厳を取り戻すのです。

自身の足で立ち、自分の意思で歩く。
当たり前のことをさせてあげるのです。
そのためには抱っこをしない。

ご相談を受けた際に時間があったので私が15分ほどその子とお散歩セッションしてみました。
もちろん、最初は長年感じてきた恐怖心や思い通りにならない怒りで吠えます。
一通り吠えさせてあげて(もちろん吠えても周りに迷惑のかからない環境や人の中に行くことが大事)
『吠えてもいいよ。でもあなたを軽んじる人もあなたが怖いと思うことはこの世界にはなにもないよ』
と繰り返し伝えます。
そしてその子が感じていることを言葉に出します。
『こわいよね』
『不安だよね』
『なんでご主人は抱っこしてくれないんだと思うよね』
『抱っこしなくて大丈夫。私はあなたは強いことを知ってるから』
そう伝えると吠えるのをやめて周りを探索したそうにしました。

その子が行きたいところに行けるようにリードを可能な限り緩く持ち『自由に歩いて大丈夫』と伝えました。
すると、普段散歩も嫌がる子だった(これは飼い主さんが吠えることに対して過剰に反応して常に抱っこしていた弊害)歩き始めます。

匂いを嗅ぎ、時折私を見て、移動の許可を取ろうとします。
とても賢い子です。
『好きなところについて行くし、何かあったら止めるから大丈夫』と伝えると自信を取り戻しもっともっと探索しようとします。

そして飼い主以外が触ろうとすると威嚇して唸っていた子が私に擦り寄ってきて、撫でていいと言ってきたのです。

たった15分で変わるのです。
戻ってきた飼い主さんは驚いていました。
吠えない、楽しそうだと。

その時はセッションのご質問内容と異なるのでお伝えしませんでしたが、この子の問題の奥底は飼い主さんの心の問題であるのです。

犬は健氣で人に寄り添い優しいです。
だからこそ、彼らの優しさを汲み取りあなたの言葉で『わかるよ』を伝えてあげて下さい。

One drop of truth

見えない世界で見聞きしたこと

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